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2009年3月

2009/03/30

沫江煤電 電気機関車1号

[sound]沫江煤電 電気機関車1号

 郭沫若は,中国現代文学者の中では魯迅と双璧を為すと言っても良いだろう。生まれは光緒18年というから西暦では1892年(100年以上前の生まれだが,中国文学の時代区分上,現代文学者ということになっている)。生地は,大仏が世界遺産に指定されて有名になった楽山,の郊外の沙湾。いまは楽山市沙湾区となっているが,長江の支流の大渡河ほとりの,周りの郷鎮よりは少し大きめの街である。大渡河の別名が沫水。沫若の号の「沫」はここにちなむ(「若」も若水という川の名である)。

 以上の諸事項とは何の関係もなく,大渡河を挟んで沙湾の対岸に,火力発電を業務としている楽山沫江煤電有限責任公司という会社がある。沫江は沫水の意であろう。地元の電力会社である楽山電力の子会社であるのだが,ここまで見ても,話はこのサイトの方向性とは全くつながりが見えない,一字を除いては。
 「煤」の字にある種のきな臭さ,否,すす臭さを覚えたあなたは鋭い。ここは石炭の鉱山を持っており,当然,掘り出した石炭は発電所に運ばないといけないので,そのための鉄道を持っている。あまつさえ,そこで働く人々の便を図るため,旅客営業をしているというわけであった。

P1020097 この路線,トロッコに毛が生えた程度とはよく言ったもので,なかなかにプリミティブで楽しい。電化されていて凸型の機関車こそ少しばかり威厳があるものの,架線の状態が悪いのか随所でスパークしている。道床にバラストはほとんどなく,土に枕木を埋めた程度で,ところどころその土さえ流出している。線路の歪みはフリーハンドで描いた線の如くである。
 石炭車はホッパ構造がとれないから土運車のように石炭を下ろす。これじゃナベトロと変わらない。汎用無蓋車に至っては,台車に鉄板を乗せただけなのではないかと疑りたくなる。

P1020085 しかし,なによりも圧巻は人車で,まず,車輛には窓がない。そして,壁がない。手すりがあるだけである。妻面も開きっぱなしである。さすがに屋根はある,そして,当然床もある。早い話が全車完全オープンデッキなのである。オープンデッキなど,国鉄時代のスイテやマイテでさえ末端にあるだけだというのに,豪気なことだ。軌道と架線を見ただけで,速度が出ない出せない出さないのは明らかで,風の影響だの衝撃波だのを考える必要はなさそうだ。人々はベランダに出たかの如く手すりにつかまって外を向いている。

P1020094 路線は,麓の草垻が起点,次の隧道口が分岐駅で,老鉱へ行く線と向陽の行く線の2本がある。貨物列車,旅客列車を合わせると,時間1本くらいは走っている感触である。

 今回は,この沫江煤電から,補修用の煉瓦を運んでいる1号機関車のサウンドをお送りする。1輛の無蓋車しか繋いでいないので,あっという間に通り過ぎてしまう。前回の長編と打って変わって,約27秒というのは,当館の動いている乗り物の中では最短である(乗り物以外の録音も含めると通票閉塞機が14秒で最短)。

P1020120 さらに,このページを開いてくださった方には特別付録。老鉱~草垻間の後方展望ビデオを御用意しました。おんぼろ客車の手すりに寄りかかっているつもりで御覧ください。なお,サイズが大変大きくなっていますので御注意ください。なお,さすがに容量を取るので,サーバの使用状況如何によってに削除することがあります。

沫江煤電 後方展望ビデオ

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2009/03/23

キハ52型気動車 その2

[Sound]キハ52型気動車 その2

 JRに残されたキハ20系列のうち,エンジンが登場当時のまま現存しているのが,前回もお伝えしたJR西日本のキハ52である。この車輛は100番台であるので,他のキハ20系列のDMH17Cではなく,横型のDMH17Hを搭載しているのだが,このエンジンとても同社のキハ58など僅かに残るばかりの,貴重な存在である。
 横型で車外からメンテナンス可能なので,車内に点検蓋がなく,エンジンの位置の推定がしづらい,蓋の縁から漏れてくる音が拾えない,など,録音に際しては制約の多いエンジンではあるが,今回は,大糸線の上りで,姫川沿いに遡上している列車のサウンドをお送りする。急カーブと急勾配のため速度が出ず,一駅間僅か6.5kmの距離であるが,これまでの最長記録(箱根登山鉄道 宮ノ下~大平台)を破り,10分を超える大作となった。トンネルあり,鉄橋あり,変速→直結→変速の切り替えもあり,エンジンの唸り具合といい,中身も充実した録音となった。
 機材の不調からか,右側の音が少し変だが,半年も新たな録音がなかったので掲載する次第。

平成21年3月21日 西日本旅客鉄道大糸線 平岩~北小谷 426D
P1000008

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